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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD

メルマガ配信日 2023.12. 5

発行:放熱設計&提案のザワード

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いつもお世話になっております。
株式会社ザワード 熱設計技術部でございます。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
このところ寒い日が続いており、
今年の秋はインフルエンザが猛威を振るっておりましたが、
お体には気を付けてお過ごしください。
さて、今月はいつもと雰囲気の少し違った内容を
お送りいたします。

【ヒートパイプとベーパーチャンバーのイメージ】

今日は、20年間以上、放熱器の設計や加工、
品質を見てきた経験から、
産業用に用いられるヒートパイプと
ベーパーチャンバーについて
語りたいと思います
一部お客様のイメージと異なる
部分が含まれているかもしれません)。
1)HP/VC両者の共通するイメージ
・放熱部材ではなく、あくまでも熱輸送するための部材です。
・内部は主にRO水が含まれており、
状態変化を利用して熱を加熱側から冷却側に移動させます。
※ちなみに、他の冷媒を注入することも可能ですが、
液入れ装置及び端部の溶接部が
その冷媒に対応した装置をもっていないと封止できません
・水の状態変化を利用した作動方法により、
どうしても重力の影響があります。
そのため、ボトムヒート(下が受熱側、上が放熱側)、
水平、トップヒートの順で熱輸送能力は落ちます。
・条件によっては冷媒がRO水でも
100℃以上でも作動します。
(実際には、100℃以上で使用
するという話はほとんど聞きません)
2)ヒートパイプ
・アメリカで特許が出願され、
NASAで使われ、特許が切れて、
世界に広がった熱伝導デバイス。
・1次元(線状)に熱を広げることで
熱伝導部分の熱抵抗を下げる。
・内部の加熱側から冷却側までの移動速度は
音速に近いと言われている。
そのため、状況にもよるが、
熱伝導率は銅の100倍とも言われている。
・曲げ加工はパイプ径の3倍Rが基本
・φ6,φ8辺りを用いる製品が多い
・メーカーにもよるがφ12辺りから、
両端の封止の仕方が変わる
・還流機構部はかなり前はメッシュタイプだったが、
今は焼結が主流
・メーカーにもよるが、
長さは400~500mmぐらいまで。
それ以上になると通常使われる装置に
設置できない可能性があり、値段が上がる。
・HP単品だとだいたい1000本ぐらいから
購入可能だが、HPが接合した製品ならば
大きさにもよるが数十~100台ぐらいから量産が可能。
・管径が大きくなると熱輸送できる量が増える。
一部のヒートパイプメーカーは性能が上がるから
と言って途中で何も言わず内部構造を変える
(特に壁の厚み、厚みを変えると材料費が下がり、
外壁部の熱抵抗が小さくなるため、
性能があがる。但し、薄くなる分、
品質的な部分でいろいろ悪化する)。
・ヒートパイプの生産能力は月何十万本、
何百万本という企業は多いが
「そんなないでしょ」と思えるような工場がある。
ヒートパイプメーカーには
必ずヒートパイプを大学で
学んできたというドクターがいる。
・ヒートパイプの生産において、
自動化されている工程は多いが、
焼結用に銅粉を入れる装置が
「えっ」と思えるような古典的な装置のところがある。
・HPは受熱部と放熱部が
離れているほど、性能に優位差がついてくる。
ヒートシンクのベース面等に
埋め込む場合はイメージとして
1割~2割ほど性能がアップする。
ザワードではヒートパイプの解析も
行っております。
まずは資料請求から!(ダウンロード無料)
3)ベーパーチャンバー
・その当時(20年以上前)
アメリカのあるサーバーメーカーに
使われていたベーパーチャンバー付
ヒートシンクを入手して、衝撃を受けた。
ただ、品質的に安定して製作するのが、
大変そうだとも感じた。
・2次元(面状)に熱を広げることで
熱伝導部分の熱抵抗を下げる。
・面状に広げる関係上、熱伝導率は
XY方向に関してはイメージとして
ヒートパイプの10分の1。
・厚み方向の熱伝導率は
各メーカー主張により、様々。
条件によると思うがたいだい
40~400W/mK
(ただ、この間の製品は40W/mKに近かった)。
・イニシャルの金型代が高く、
量産LOTも最低1000個以上。
・イメージとして銅板でなく、
グラファイトシートの上位に位置している。
・グラファイトシートと異なり、
フィンを接合でき、平面度も確保できる。
と長々と語ってしまいましたが、
ヒートパイプ、ベーパーチャンバー、
その他の押出・削ぎ立てヒートシンク等に対する
ご意見・ご感想・ご案件・ご提案があれば、
随時承っております。
弊社営業部までお気軽にご連絡頂ければ幸いです。
ベーパーチャンバーについて詳しい
情報を知りたい方は、
ザワードが提供する資料を
こちらから無料でダウンロードできます!

【編集後記】

皆さん、動物や人の気配を感じた経験はありませんか?
この現象を伝熱工学から説明できるかもしれません!
それはずばり、放射です。
放射は対面する面同士の
温度差によって生じる熱移動
電磁波による移動)を指しています。
つまり、例えば、ねこが近くに
いたとします。この時、
人とねことの間で体温差が
生じて熱移動が発生します。
この熱移動を皮膚で感じ取ったときに、
これを気配と感じているのではないか
と風呂の中で思いました。
この感覚を鍛えれば、暗闇や
見えないところに隠れた動物や
人を発見できるようになる
もしれませんね。
今月もお読みいただきありがとうございます。
ザワード熱設計技術部(T.K)
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