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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD
メルマガ配信日 2023.6.9
発行:放熱設計&提案のザワード
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いつもお世話になっております。
株式会社ザワード 熱設計技術部でございます。
【自励振動型ヒートパイプについて】
雨や台風が多い季節になって参りました。
晴れ間は少ないですが、
花粉も少なく、涼しくて過ごしやすい時期ですね。
さて、今月のメルマガでは
自励振動式ヒートパイプについてご紹介したいと思います。
1)一般的なヒートパイプと自励振動型ヒートパイプの違い
自励振動型ヒートパイプというのを耳にしたことはございますか?
<<< 一般的なヒートパイプ >>>
受熱部で水が蒸発して気体となり、
体積変化により放熱部へと押し出された気体が
放熱部で冷却され水に戻り、
毛細管現象を利用した還流機構によって、
受熱部に還流されるという仕組みで
熱を伝える熱伝導デバイスです。
<<< 自励振動型ヒートパイプ >>>
一般的なヒートパイプと異なり、
受熱部と放熱部間を1本の蛇行した細管で
往復した構造となっています。
受熱部と放熱部の細管内部の圧力が異なるため、
高い方(受熱部)から低い方(放熱部)へ
細管内部に封入された冷媒が流れます。
その流れによって、
つながっている隣の配管内部の冷媒が押し出されて、
放熱部から受熱部へと還流される
という仕組みで熱を伝える熱伝導デバイスです。
と説明はしてみましたが、
少しわかりずらいので、下記に違いをまとめると
熱の輸送状態(受熱部→放熱部→受熱部) —>
一般:気体→液体の繰り返し
自励振動:常時液体と気体での輸送
熱の作動動力 —>
一般:状態変化+毛細管現象
自励振動:圧力差 となります。
2)”自励振動”という名前の由来
この”自励振動”という言葉は、
熱を投入した直後に圧力が場所によってまばらなため、
冷媒が細管内部で行ったり来たり流れることから
名づけられています。
3) 開発エピソード
この作動原理の発見は、日本のある技術者が
ヒートパイプをたくさん使用する製品があり、
どうせなら一本につなげてコスト削減できないかと
研究を始めたのがきっかけです。
研究を進めていくうちに、通常のヒートパイプと比較して
作動液の封入量が大幅に異なることや、
管径が小さいときに作動することから発見された原理です。
伝熱学会でもしばしば論文が投稿されますが、
ヨーロッパのある国では作動を表現する
シミュレーションソフトも存在しております。
4)自励振動型ヒートパイプのメリットとデメリット
このヒートパイプをヒートシンクに使用した時の
メリットについてですが、
フィン効率を高める形状での設計が可能なため、
IGBTなどの高発熱体向けヒートシンクを製作するには
これ以上ない熱伝導デバイスと言っても過言ではありません。
課題としては、加工コストとアルミのコンテナを使用するため
冷媒がRO水ではなく代替フロン(HFO-1234yf,HFO-1233zd)や
炭化水素を用いることとなります。
弊社でも将来的にこの熱伝導デバイスが
商品化できればと考えております。
弊社のヒートパイプ付きヒートシンクは
こちらからお問い合わせください!