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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD
メルマガ配信日 2024.1.17
発行:放熱設計&提案のザワード
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いつもお世話になっております。
株式会社ザワード代表の早坂です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
かなり冷え込むようになってきましたね。
風邪など引かれませんよう、ご自愛くださいませ。
【1.冷却最後の砦!液冷の水冷板について】
・放熱を検討する場合大きく分けると空冷方式と
水冷方式に分けられます。
空冷は強制的に風をおくる強制空冷と自然空冷に
分けられます。
・一般的には熱抵抗値 0.05℃/W(100Wで5℃の温度上昇)以上の
放熱能力が求められる場合には水冷方式が検討対象になってきます。
近年はIGBTなどのパワー半導体やレイザーダイオードの高発熱デバイスの普及
に伴い、熱輸送能力の高い液冷方式の冷却について
お問い合わせを多くいただくようになりました。
今回はその水冷方式の水冷板(コールドプレート、ヒートシンク)
についてお話し致します。
弊社では純水や不凍液を使った水冷板(ヒートシンク)の提案を行っています。
求められる3つの要素
1)高い熱輸送能力
2)熱の均一化
3)高い信頼性
熱輸送能力を高めるためには受熱面からより効率よく
水に熱を伝えるための工夫や水を流れやすくする工夫、
発熱部品の配置などを解析を通して設計し、提案することになります。
水流の圧損を考慮しながら
受熱面からの熱をより多く水に伝えるような流路設計が求められます。
信頼性を高めるためにはロウ付けやFSW(摩擦攪拌接合)などの工法を採用しています。
コスト低減のために銅製を採用していたものをアルミ製にできないかという
ご相談を受けることもあります。
中国ではEVが発達しており、
水冷用のコールドプレートの製造が盛んになっています。
弊社の委託先の工場もEVのADASのコントロールパネルや充電池の冷却用の
水冷板をメインに製造しているところもあります。
昨年9月に中国の工場を訪問しましたがEV関連の部品製造をしている工場は
夜中まで稼働しているという印象でした。
【2.悩み多き(?)設計技術者に聞いてみた水冷板のアレコレ】
さて、弊社の熱解析・製品設計をしている技術者に
そんな水冷板のアレコレについて質問をぶつけてみました。
・水冷板の設計で最近問合せが増えているようですが、
機器設計者のお困りごとはどのようなものがありますか?
→
コスト上昇でお困りの方が増えてきています。
近年、IGBTの小型化・高発熱化に伴い、
以前は配管をカシメた水冷板で処理できていたものが、
性能がよい銅板に溝を掘った形状に移り替わってきております。
そのためコストが以前の数倍になることも珍しくなく、
コストを抑えた設計依頼が増えております。
・水冷板の熱設計で難しいところはどこでしょうか?
→
コストを抑えたいということで、
コストの安い加工方法で性能を満足させるという、設計者泣かせの要求ですね。
そのため、常に新しい加工方法や設計を寝る間も惜しんで考えています。
・水冷板の熱設計をする場合に必要最低限の情報は何でしょうか?
→
情報ゼロからでも設計できます。
ただそれだと、好き勝手に設計して趣味の世界に足を踏み入れてしまいますので、
例えば冷やしたい素子の発熱量と大きさ等
わかる範囲で教えていただければ、あとは想像で設計します。
・昨年中国の加工工場をいくつか回りました。
その時の印象はどんなものでしたか?
→ピンキリではありましたが、
やはり車載の水冷を製作している会社は品質とコスト競争力が違いますね。
・中国の製造工場と日本の製造工場との違いはどのようなところですか?
→
日本はどの工場でも平均的良品ですが、
中国では形はできるけど、よくよく見ないとすごい製品(悪い意味で)が
出来上がってくる可能性があります。
よって提携先には足しげく通い、しっかりコミュニケーションをとって
認識のズレを事前に把握することが大切です。
・弊社では放熱・冷却の最後の砦として液冷をお勧めするわけですが、
さらなる高性能を求められた場合には
将来的にどんな解決策がありそうでしょうか?
→
高額な特殊用途ならばできそうな製品はありますが
(例えば液体窒素をぶちまけ続けるとか)、
コストを加味したうえでの一般的に使用できるような製品は、
この先革命でも起きない限りないですね。液冷が最後の砦です。
なので、素子製造メーカーさんはこれ以上熱流束を上げないでほしいです。
【3.編集後記】
水冷に限らず、放熱・冷却に関するご質問などあればお気軽に
お問い合わせください。
ザワード代表取締役(早坂)