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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD

メルマガ配信日 2024.6.14

発行:放熱設計&提案のザワード
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いつもお世話になっております。
株式会社ザワード営業部です。

雨の日はまだまだ涼しいですが、
晴れると暑い日が続くようになりましたね。
わたしは今年の猛暑対策グッズとして、
ペルチェ搭載のネッククーラーを買ってみました。

後ろにペルチェ素子+アルミプレート(肌接触用)、
顔に風が当たる位置にファンが付いているというものです。
ただ・・・すべての部品が後ろ側にあるということで、
重心が後ろ寄りで、
ふとした瞬間に首から落ちてしまいました・・・
(別の意味でヒヤッ…)

ファンやペルチェを落下させる『マズさ』は、
日々冷却部材に向き合う者として、痛いほど理解しており(泣)
落ちてしまった瞬間、壊れてないか冷や冷やでした・・・・

今月のメルマガは、
そんな『【応用】熱力学~実生活編~』についてお送り致します。
アツアツご飯のお釜を冷やすには?
お茶を入れるお湯を適温まで下げるには?

営業がアレコレ考えたアイディアを、
弊社の熱専門技術者に、専門的な視点からぶった切ってもらいました!

─目次───────────────────────────

1. お茶を淹れるお湯を適温まで下げるには?
アツアツご飯のお釜を冷やすには?

2. 巷でよく聞く10円玉ヒートシンクって実際どうなの?

3. ペルチェ付きのネッククーラーを落としたらどうなる?

4. 編集後記

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【1. お茶を淹れるお湯を適温まで下げるには?
アツアツご飯をお釜ごとを冷やすには?】

お茶を淹れる温度を適温まで下げるにはー
ほぼ毎日急須でお茶を淹れるくらいお茶が大好きなんですが、
同時にせっかちな性格なので、お湯を冷ます時間を待ちきれず、
淹れるのを失敗することも多々・・・

お湯を冷ますのに、お湯を張った容器をヒートシンクに乗せたら
もっと早く冷ませるのでは!?と、ある日思いついたのでした。

筆者の仮説💭
普段使っているガラスの容器では熱伝導率が悪すぎるから、
アルミか銅の容器を用意して乗せるのがいいかな?
ヒートパイプは40~50℃位から動きがよくなるデバイスであること、
ただ、容器自体の温度分布は一定だと考えられるので、
容器とヒートシンクのサイズを合わせれば、
ヒートパイプを使ってもさほど効果がないのでは?
と予想。

さて・・・弊社熱専門技術者の見解は・・・?

某技術部員Aの回答💬

気になるのは接触熱抵抗。
ヒートシンクと容器との間に
隙間があるとそこの空気層が熱抵抗になるため、
容器とヒートシンクの接触部が
ぴったりハマるような形状にすると、効率よく放熱できます。
(ありものの容器とヒートシンクでは×)
但し、コップ型のアルミニウムをはめるだけでは、
アルミニウムから空気への熱伝導できる量が少なくなってしまうため、
温度下降がすぐに頭打ちになってしまいます。
そのため、接触部分にプラスで、フィンもあると最高。

いつも展示会で飾っていますが、こんなのに
近いイメージです。

最後にお湯自身の対流と
湯面からの気化も効率的に利用できるような構造を持たせることによって
さらに短時間で冷ますことができるようになりますね。熱解析しましょうか?

アツアツご飯を粗熱をとって冷凍ご飯にしたいー

皆様、余ったご飯はどのように処理していますか?
私はラップにくるんで冷凍庫にINなのですが、
保温されたご飯の熱いこと熱いこと!
というわけで、手間暇掛けずに粗熱を短時間で取る方法を
考えてみました。

筆者の仮説💭
例えばお釜ごと冷やすのにもヒートシンクが使えるかな・・・?と
思ったのですが、
そもそもご飯同士の隙間の空気の熱抵抗が高そう。
日常生活でヒートシンクが役立つとすると・・・
というテーマを基に、考えてみたので元も子もないですが、
冷やすとしたらどちらにせよ
ご飯を混ぜながら扇風機で風を当ててあげるのが
一番簡単そうです(笑)
さて、技術部の意見を聞いてみましょう

某技術部員Bの意見💬

確かに、米粒と米粒の間の空気は
熱抵抗が高いため、お釜を外から冷やしても、
中の方まで放熱するのは難しいです。
昔ながらの、おひつに移して団扇でパタパタ
しながら混ぜる、がかなり効率はよいですが、
冷めるまで構ってないと行けないのは
いささか手間ではあります。

ところで、私はアツアツご飯を
そのままボウルに入れて冷蔵庫にIN派なのですが、
お米を冷やすニーズってどれくらいあるんでしょうか?
と思い、社内でアンケートを取ってみました。

そうしたら、、、

「余ったお米をラップにくるんだりするのに、
熱すぎると作業しづらいので、粗熱は取りたい」

のほかに、
声3「小さい子供にご飯を食べさせるとき、
子どもたちがおなかを空かせているので、
炊き終わったらすぐにでもお米を冷やしたい」

というものがありました。

…なるほど!
できるだけ早くお米を冷やしたいなら、
やはりお釜のままだと時間的には効率が悪いので、
少し手間ですが、お米を広げていただいた方が良いです。

なおかつ、熱伝導率の高いアルミのバットに広げて、
環境温度を下げると、これはかなり効率よく熱交換が出来ます。

恐らく最適解は、
「約1合ごとにラップになるべく厚みを薄く包んだごはんを
常温においたアルミのバット上に置き(ご飯間の放熱)、
アルミのバットで蓋をし(放熱材の熱容量を増やす)、
冷蔵庫か冷凍庫に入れる(環境温度を下げる)。」

でしょう。いかがでしょうか?
実用性はありそうでしょうか?

余談ですが・・・
日本の緑茶を淹れるときに、
基本的には低めの温度のお湯で淹れるが良いのはなぜかというと、
日本の緑茶には中国や台湾の緑茶よりも、
うまみ成分であるアミノ酸が多く含まれているからです。
このアミノ酸が50℃以上で溶けだしやすいのに比べ、
渋み成分のカテキンは80℃以上で溶けだしやすくなります。
低めの温度(70~80℃)のお湯だと、
うまみと渋みのバランスよく淹れられ、
日本茶独自の美味しさを引き出せるという訳です。

【2. 巷でよく聞く10円玉ヒートシンクって実際どうなの?】

某SNSでもたまに見かける10円玉ヒートシンク。
熱伝導率の高い銅素材でできた10円玉を、
発熱しているPCやスマホに乗せて、
放熱しようというものです。
このような民間療法的な放熱について、
技術部の意見を聞いてみました。

某技術部員Cの意見💬
おまじない程度に考えてもらいたいですね。
また、発熱している部品に近くないと効果は限定的です。
温度上昇する時間を押さえる効果としては
10円玉ですので熱容量が限られますため、
短時間でしかありません。
また、10円玉自体がぼこぼこしていますので、
逆に空気層での断熱効果や放熱面積が十円玉の外周部分しか増えていないので
十円玉を通過するときに発生する熱抵抗により悪化することが考えられます。
ちなみに、PCなどのファンの空気の吸気や
吐き出し口に10円玉を載せるのはNGです。
放熱の為の排気を妨げて良いほど、
10円玉に放熱のポテンシャルはありません。。

【3. ペルチェ付きのネッククーラーを落としたらどうなる?】

巻頭でお話した『ペルチェ付きのネッククーラーを落とした』話。
この数年で購入された方も少なくないのではないでしょうか。

ペルチェやファンモーターは衝撃に弱い部品。
落としてしまうとどんなことが起きるのか・・・

・ペルチェの内部はんだ部分にクラックが入り、電流がうまく流れず
ペルチェ効果(冷却・発熱)が得られなくなってしまう可能性がある
・ファンのベアリング内部のボールが軌道にぶつかり、
キズが付き、異音が発生する可能性がある
・ファンの回転軸が歪み(もしくは折れ)回転しなくなる可能性がある

いかがでしょうか?
こちらをご覧いただくと、ファンモーターが
かなり繊細な精密機器であることが
分かるかと思います。
皆様もお使いの際は是非ご注意ください・・・!
(特に重心が後ろにあるもの )

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今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
放熱・冷却に関するご質問などあればお気軽に
お問い合わせください。

株式会社ザワード 営業部(森)

お問合せは info-zaward@zaward.co.jp までお気軽にご連絡ください。

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