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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD

メルマガ配信日 2024.7.16

発行:放熱設計&提案のザワード

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いつもお世話になっております。

株式会社ザワード 熱設計技術部です。

もうすぐ夏休みですね。
夏休みと言えば海外旅行などが思い浮かびますが、
今年は円安の影響で海外へ、、遠くへ、、
というよりも近場で過ごす、という方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

さて、今回は
以前取り扱ったテーマ「脱炭素社会」から発展し、
「脱炭素社会におけるヒートシンクの今後」
をテーマにしました。

よろしければ最後までご覧いただければと思います。

─目次───────────────────────────

1.アルミ製錬の脱炭素に向けた国際的な動向

2.「脱炭素社会」に向けたヒートシンクの設計

──────────────────────────────

1.アルミ製錬の脱炭素に向けた国際的な動向

弊社におきましてはファン及び
ヒートシンクを主として取り扱っておりますが、
今回はヒートシンクを
「脱炭素社会」に向けたヒートシンクに
できる工夫について、考えてみたいと思います。

さて、まずはヒートシンクを製造する上で欠かせない、
原材料「アルミ」について考えてみます。

アルミニウムの使用は、
温室効果排出にどのように関わってくるでしょうか?

アルミニウムは、その熱伝導率の高さと、
入手コストのバランスの良さ故、
放熱部材に使われる原材料として、
非常に優れた金属となりますが、

実はアルミは、金属の中でも製錬に係る
電気使用量が多大で、
1t辺りのGHG(温室効果ガス)の排出量が
鉄の約10倍だと言います。

このようなことから、
アルミの製錬に係る電気使用量を
できるだけ抑えた形で製錬できないか、
また、電気の使用以外にも、
特に欧州では活発な開発活動が
行われています。

ちなみに、アルミ製錬の工程は、
(かなり)ざっくりとまとめると下記のようになります。

①ボーキサイトの採集

②バイヤー法でボーキサイト→アルミナの製錬

③ホール・エル―法でアルミナ→アルミニウムの製錬

上記の工程の中でGHG排出に関わる過程は
下記のようになります。

①ボーキサイトの採集
➡ボーキサイトは熱帯雨林もしくは
かつて熱帯雨林だった場所でしか採集できないため、
採集のために、森林伐採が行われている。

③ホール・エル―法
➡この工程では、電力の消費が激しく、
電力を生み出す方法によって、GHG排出量が
非常に高くなる。
具体的には、

アルミナの融解やフッ化物溶液の収納容器とする
固体フッ化物の冷却に多大な電力を消費している

電気分解を行う際に使用する炭素電極が、
空気中の酸素と結合して、
二酸化炭素が発生し、GHG排出となっている

…等

このようなアルミニウム製錬に係る
GHG排出を抑えるため、
欧州をはじめとする各国各企業にて、
脱炭素に向けた開発がされており、
なかには実用化ができるレベルにまで
開発が進んでいる施策もあります。

これだけのGHG排出を余儀なくされる
アルミニウムの製錬は、
国際的に脱炭素に向けて様々な取り組みをされている一方で、

新しいアルミニウム(アルミニウム新地金)を使用しない
という手法で、脱炭素社会に寄与する方法もあります。

リサイクルするときに使用する電気量は
製錬時よりもかなり少なく、
又鉄や銅に比べても少ないため、
リサイクルアルミの使用により、
GHG排出抑制に寄与することができると言えます。
また、アルミニウムの製錬に係るコストを抑えられるため、
利益が出しやすい、という側面もあります。

以上から、
新技術に期待しつつ、リサイクルアルミを
どれだけ積極的に使っていけるか、
こういった意識になってきそうだと感じました。

2.「脱炭素社会」に向けたヒートシンクの設計
ヒートシンクで脱炭素を考えた場合は
使用量の低減と材料および加工方法となります。

例えば、昔に設計したヒートシンクを
そのまま使用していませんか?

昔の押出技術では必要以上に
フィンの厚みが厚いことが多い。

現在の技術を用いれば、
性能はそのままで薄く軽く製作できます。

例えば、性能が厳しかったため、
ヒートシンクが巨大化していませんか。

ヒートパイプを用いれば、
ベースやフィンに効率よく熱を伝導できるため、
同じく軽量化ができます。

 

例えば、フィンピッチが狭くて、
押出ではなく、切削やスリット加工で
製作していませんか?

板から削ぎ立てる削ぎ立て加工ならば、
材料を無駄なく使用することが可能です。

とこのように、新規に設計する
ヒートシンクももちろんですが、
昔から使用しているヒートシンクを
見直すことで脱炭素社会への貢献
ができるかと思います。

 

 

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今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

放熱・冷却に関するご質問などあれば、
お気軽にお問い合わせください。

ザワード熱設計技術部(T.K)

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