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THERMAL TECH. INSIGHTS BY ZAWARD
メルマガ配信日 2022.12.5
発行:放熱設計&提案のザワード
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いつもお世話になっております。
株式会社ザワード マーケティング部でございます。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
最近東京では天気のすこぶる良い日と、天気のすこぶる悪い日があり、
平日は雨でいいから休日は晴れてくれと祈る日々です。
さて、今月はこちらの内容をお送りいたします。
【ヒートシンク/ファンモーター以外の放熱部材】
今回は、ヒートシンクほどの性能を必要としない場合や、
ヒートシンクと併用されることの多い
「金属プレート」や「グラファイトシート」
「フェイズチェンジマテリアル ほか」
について、
それぞれの特徴や、熱伝導率、用途について説明したいと思います!
~「金属プレート」とは~
銅やアルミ等熱伝導性の高い金属を板状にしたもので、
板金の技術を使って折り曲げるなどして、
ヒートシンクほどの性能を必要としない場合に使われたりします。
本当にアルミ板だけで放熱になるのか?と思ったりしますが、
実は純アルミは238W/m℃程の熱伝導率を持っており、
鉄と比べて3倍程度の熱伝導率があります。
性能について、具体的な数値を用いて説明しますと、
周囲温度40℃で1Wに満たないの発熱について、
放っておくと70℃~80℃まで上がってしまうところ、
発熱体の面積の2倍の面積のアルミ板を設置することで、
温度上昇を60℃まで抑えられる、
といったくらいの放熱が可能です。
1Wというと、そこまで大きな発熱量ではありませんが、
それでも温度上昇を放置すると、
素子の働きに影響が出るような場合もありますので、
そういった軽い放熱には金属プレートで済ますようなケースがあるようです。
但し、金属プレートは素材に柔軟性がないため、
単体で発熱体に接触させようとすると、受熱面に空隙が生じ、
熱性能が落ちる、ということがあります。
これはヒートシンクを組み込む際も生まれる問題ですが、
そういった場合には、この後ご紹介する
「フェイズチェンジマテリアル」や「放熱グリース」等
を挟むことが多くなっております。
~「グラファイトシート」とは~
高い熱伝導性を有する黒鉛を主な原材料である黒鉛フィラーを
垂直もしくは水平に配列させた、高い熱伝導率を持つシートとなります。
高い熱伝導率、というのがどれだけ高いかというと、
実に、純アルミの4倍以上の1000W/m℃、
物によっては1500~1700W/m℃あるようなシートもあります。
このグラファイトシートは、「熱を広げる」のに特化したシートです。
厚み方向の柔軟性等はないため、先ほどご紹介した
フェイズチェンジマテリアルと用途は異なります。
また、「熱を広げる」というと、
ベイパーチャンバー(VC)等も同じような働きがありますが、
VCはヒートシンクと組み合わせて使うのに対し、
グラファイトシートは筐体を用いた放熱を助けるために
使われることが多くなっております。
~「フェイズチェンジマテリアル」とは~
熱により軟化し、周囲の物体の形状にフィットするもので、
フェイズチェンジシート単体でも放熱効果を持ちます。
海外では「Thermal PCM(phase change material)」と呼ばれていますね。
熱伝導率自体は2~7W/m℃と、これまでにご紹介した素材と比べて
驚くほど低い数値となりますが、
金属プレートやグラファイトシートとは用途が異なり、
「空隙を埋める」役割を持つため、単体での熱伝導率は必要ない、
ということになります。
こちらのヒートシンクを発熱体の近くに組み込む際には、
受熱面にわずかながら「空隙」がどうしても発生してしまい、
その空隙によって放熱が困難となるため、
ヒートシンクの取付やベイパーチャンバーの取付などには
必ず空隙を埋める素材は必要となるわけです。
空隙を埋めるのには、ほかにも
「熱伝導グリース」や「サーマルパッド」等
いくつかの選択肢がございますが、
熱伝導グリース…液体なので空隙を埋めるのが得意、ただし作業性悪い
フェイズチェンジマテリアル…グリースほどではないが、空隙を埋めるのが得意、作業性良い
サーマルパッド…発熱体と放熱器の間に隙間が生じてしまう場合に用いる
等の特徴から、使い分けていただくのが良いと思います。
「グラファイトシート」「フェイズチェンジマテリアル」、
そのほか熱伝導グリースやサーマルパッドも含め、
ザワードでは放熱に関する部材を
幅広く取り扱っておりますので、
お気軽にご相談ください。
~まとめ~
今回ご紹介した3つの部材の熱伝導率ランキングは以下の通り
1位. グラファイトシート
2位. 金属プレート(銅>アルミ)
3位. 熱伝導グリース、フェイズチェンジマテリアル、サーマルパッド
となります!
今回は熱伝導率を基準にしたランキングをお届けしましたが、
放熱環境や、作業環境、発熱量などにより
最適な放熱部材は異なってきます。
具体的な放熱のご相談は、
お気軽にザワードまでお問い合わせください!
また、今回の記事が、新製品開発の
良きインスピレーションとなりましたら幸いです。
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今月もお読みいただきありがとうございます。
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