今月は「ヒートシンクの材質」と「工法別の製造範囲」について紹介します。
<<ヒートシンクの材質について>> 弊社が提案するヒートシンクの材質は、A6000系、A1000系、 タフピッチ銅C1100を使用しております。 材料の入手性・材質と加工工法の相性も関係しているのですが、 A6000系の中でも、「A6063」「A6063-T5」 A1000系の中でも、「A1060」を弊社では使用しています。 アルミは、銅や鉄の約3分の1の軽さと軽量で、合金番号によって 特徴があります。 ここで、A1060とA6063-T5の特徴を紹介したいと思います。 【A1060】 A1060はA6063-T5に比べて、柔らかく加工がしやすいため 削ぎ立て加工に用います。 また、A1060はA6063-T5よりも熱伝導率が高い素材です。 熱伝導率(25℃環境) A1060 …0.23W/mK A6063-T5 …0.21W/mK 【A6063-T5】 押出し加工では、押出加工性に優れたA6063を使用します。 押出し後、焼戻しを行い、時効硬化させて、A6063-T5 という材料になります。 T5処理によって、強度や寸法の安定性を保つことができます。 アルミでは放熱能力が足りないというケースの場合、銅を使用して ヒートシンクを製作します。 銅の熱伝導率は398W/mKと、アルミ236W/mKに比べて 優れています。 アルミに比べて製品単価は高くはなりますが、冷却性能が 高いヒートシンクが製造可能です。 銅材の制約としては、細かい押出加工ができないという点です。 <<工法別の製造範囲について>> 「ヒートシンクは様々な工法で製造することができるけど、 何を基準に工法を選んでいるの??」 といった質問をいただく機会がございます。
せっかくですので、このご質問に沿って、製造範囲の説明を させていただきます。
弊社では、ヒートシンクの工法を選定する際に、製品仕様・数量 などを加味しながら、一番コストメリットがある工法を ご提案しております。 もちろん、お客様より工法のご指定/ご希望がある場合は、 それに沿った形でご提案します。 しかし、お客様の中には工法の選択に迷っているという方や、 どの工法で製造すればいいのか分からないと悩まれている方も いらっしゃいます。 そこで、工法を選択する際に”鍵”となる3つの項目について、 各工法別の製造範囲の特徴と共に説明していきます。 1.数量 工法の選定に当たり、一番の判断基準は「数量」です。 押出加工・鍛造・ダイキャストは大量生産向けのため、少数量の 生産には適していません。 少数量の場合は、切削加工・削ぎ立て加工・カシメ加工での製造を ご提案しています。 2.形状などの仕様 各工法毎に製造可能範囲が決まっているため、これを加味しながら 適切な工法をご提案します。 例えば、押出加工と削ぎ立て加工では、製造可能なフィン厚み及び フィンピッチが異なります。 切削加工と削ぎ立て加工では、製造可能なフィン高さが異なります。 切削・削ぎ立て加工では製造できないフィン高さの場合には カシメ加工をご提案、といったような感じです。
図解:最適な工法の考え方 さて、ここで簡単に流れをイメージしてみましょう。
工法を決めるプロセスを簡略化し、イメージしやすいように 図にしてみました。
ヒートシンクをお探しの際は、このようなイメージをつかんで いると探しやすくなるかもしれません。

削ぎ立て加工の製造範囲表
流れはつかみましたが、では、狭ピッチって例えばどのくらい なのでしょうか? ここで、製造範囲表をご覧ください。
 ※最終的には技術者が形状、加工等を総合的に見て、製造可否を判断いたします。
さて、大量生産の場合でも、形状によって、押出加工・冷間鍛造・ ダイキャストと製造工法は複数あります。 冷間鍛造の技術の向上によって、今まではダイキャストでしか 製造できなかった形状でも、冷間鍛造で製造することが 可能になってきました。 ダイキャストは材料がADC12になりますが、冷間鍛造に することでADC12よりも熱伝導率の良いA1060を 使って製造することができます。 設置スペースや形状の変更ができない場合でも、製造工法を 変えることによって冷却性能を向上させることができます。
3.トング比 くし型で大量生産の場合は、やはり押出加工がコストメリットが高いです。 押出加工の製造可否を判断する際に目安となるのが「トング比」です。 トング比は、【フィンの高さ÷フィンギャップ(隙間)】の計算式で 求められます。 一般的にはトング比18ぐらいまでが押出可能範囲ですが、 弊社ではトング比21程度のハイトング製品の製造/供給実績があります。
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私共、商社の強みの一つに、選択肢の多いことがあげられます。
複数の工法から最適な工法を選ぶことができます。
選択肢が多いから、コストを含めて、適切な提案が可能となります。
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『 冷却部品にまつわる用語解説 』 【アルマイト】 *英語:Anodizing 電解液に浸し、アルミニウムの耐食性を上げる表面処理です。 キズが付きにくくなりますので、取り付け時に外観が気になる ような場合もかけた方が良いでしょう。 無色のアルマイトの他、黒色のアルマイトもあります。 アルマイトの有無が放熱性能へ与える影響ですが、一般的に 自然空冷の場合に差が出やすく、強制空冷の場合は大きく変わりません。
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その他、ヒートシンクの製品情報は下記をご覧ください。 http://www.zaward.co.jp/product/heat_sink.html
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