こちらの記事では、熱の分野に関わる方や、製品開発に関わる方向けに、

ヒートシンク業界の今後の展望について、熱に向き合って20年以上のザワードの視点から、

独断と偏見を交えてお伝えしております。皆様にとって何かのご参考になりますと幸いです(^^♪

(この記事は約2分で読めます。)

 

目次

  1. ヒートシンクの始まり
  2. ヒートシンク業界~市場規模の変遷~
  3. ヒートシンク~今後はどこで活躍する?~

 

ヒートシンクの始まり

ヒートシンクとは英語のHeat sinkをカタカナ読みした

言葉で発熱体から熱を吸収・放熱させる部品。

日本語でいえば放熱器となります。

 

世界で最初に使われたヒートシンクはどんなものだったのかはわかりませんが、この技術が大きく進歩したのは

PCに搭載されているCPUの発熱が爆発的に大きくなった

ためと思われます。

 

ザワードが設立された1999年のDesk Top PCの売れ筋

NO.3はNEC 「ValueStar NX」。搭載CPUはMMX Pentium 233MHz。この熱設計電力(TDP)は17W。

因みに、2022年現在のIntelのCPUはQ2’22モデルの

i9-12950HXで最大ターボパワー 157W。

 

 

 

さらに歴史を振り返ると90年代序盤のIBM ThinkPadで

採用していたCPUは1.7W台。それがIntel 486Dx4-75MHzで

3.3Wとほぼ2倍になり、ここから熱設計へのアプローチが本格化したようです。

今ではNote PCでは当たり前に採用されているヒートパイプ。

これをIBMの日本の機構設計技術者が初めてPCに搭載した、というのが転換点でした。

 

ヒートシンク業界~市場規模の変遷~

さて、そんな日本のヒートシンク業界も2000年台後半での

市場規模がおおよそ200億円という市場でした。その後の十数年で

どの程度の伸びを示しているのかは知見がありませんが、海外生産に

シフトしたものもあるにしろ、全体としては徐々に伸びてきていると

予想しています。

 

一方世界を見ると熱伝導グリース、放熱基板、グラファイトシート、

ヒートパイプなども含めた放熱部材全体の市場は2023年で約4,300億円。

特に大きく伸びているのが弊社も取り扱っているベーパーチャンバーです。

2019年にSamsungのGalaxyに搭載されてから火がつき、2021年の見込み額で850億円程度まで伸びているもようです。

 

ヒートシンク~今後はどこで活躍する?~

また、これから期待される市場としては車載関連です。

特に注目はEV関連の冷却。近年はテスラや中国メーカーに

大きく水をあけられた感がある日本メーカーですが、EV世界初の

量産開始は日産のリーフで、2019年にはEV市場発の累計販売台数

40万台を記録した車でしたね。

 

バッテリー、エンジン制御のためのECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)、

電力変換のパワー半導体, 自動運転のための画像処理チップなどさらに熱制御技術に期待が集まっています。

水、油、空気などを使ったそれぞれのソリューションで各社がしのぎを削っている分野です。

コモデティ化するといわれている分野ではありますが、日本勢がEVの世界でもトップを走ることを期待しています。

 

10年くらいまえに電気自動車のセミナーでのプレゼンでした。

父 :「パパは昔ガソリン車に乗っていたんだ」

息子:「え? パパはそんなに金持ちだったの?!」

そんな時代が本当に来そうな予感です。

 

そのほか、パワー半導体デバイスやUVLED、レーザー関連など様々な分野でこれからも

放熱技術への期待が高まっていると確信しています。

 

半導体の高集積化がとまらず、さらに装置の小型・軽量化の

要望が収まらない以上、今後も冷却・放熱分野の技術革新への

期待は高まり、市場も伸びていくものと考えています。